アクリル素材の形成加工の技術
アクリル樹脂は透明性と耐久性が高いことから、
さまざまに加工され、広く日常で利用されています。
ディスプレイとしては、飲食店のポップや看板などに使用されたり、
店内のラックやショーケースなどの什器としても、今や欠かせないものです。
アクリル素材の加工では、高温で加熱し、軟化したところで型にはめて成形します。
この成形技術のうち、真空成形と呼ばれるものは、
軟化したプラスチック板を真空吸引して型どおりの製品を作る方法です。
真空形成のうちのエアースリップ法では、
熱して軟らかくした素材を、圧縮空気で膨らませ、
下側から凸形の型を押しあげて吸引して成形するもので、
表面が非常に滑らかに仕上がるのが特徴です。
またプラグアシスト法という方法では、
反対に凹形の型で吸引しながら、上から押さえて成形します。
細かい型でも精密に加工することができる技術です。
アクリルを形成する際には、不純物の混入を避けることが必要です。
加工品によっては、クリーンルームで室内管理をしてチリや埃を防いでいます。
こうすることで不良品を減らし、コストダウンにつなげているのです。
成形技術の質の差によって、製品価格にも差が出ます。
革新を続けるアクリル素材の成形技術
従来主流だった、熱を加えて軟らかくした材料を型にはめるという方法から、
近年では技術の進歩によってアクリルをレーザーで加工できるようになりました。
今までよりも安い費用で少数から作ることができるため、
試作品の製作や個人での注文にも対応することができます。
20mm程度の厚みがあるものでも、自動制御の機器で精密に加工できるので、
文字の切り出しなどにも利用が可能です。
また、すべての工程を人の手によって行う、手加工といわれる技術もあります。
熟練の技術で加工をするため、制約なしに形成を行うことができます。
レーザー加工と併用されることもありますが、
時間と手間がかかるので、その分は費用が高めになります。
プレス成形は、真空形成では対応できない伸縮性のない複合素材の加工に向いており、
凹凸の型で密着させずに加工する技術です。
また、NCルーターという成形技術は円形の加工に優れており、
切り出して削り加工をします。
少数の注文にも対応することができ、多品目に対応できます。
いたる所で目にするアクリルディスプレイですが、
技術の進歩によって、さまざまな新しい加工法が日々生まれているのです。