アクリル樹脂の化学的特性とは
アクリル樹脂から作られた製品は、幅広い用途に利用されています。
この素材が持つ特性の多様さがその理由です。
アクリル素材の特性の一つに、透明度が高いことがあげられます。
そのため、ガラスの代替物として使用されるケースが頻繁にあります。
物質の中の光の進み方を表わす屈折率が比較的高いのも、この素材の特質です。
一般に屈折率の高い素材ほど薄いレンズを作ることができるため、
メガネのレンズ素材にも利用されることがあります。
また力を加えることで変形した時に、永久変性を生じる特性もあるため、
複雑な形状の製品を作ることができます。
ディスプレイの形状も複雑なものを作ることができる他に、
光学材料などにも使用されています。
他の特性としては、有機溶媒に溶けることも挙げられるでしょう。
アクリル樹脂を溶かす溶媒としては、アセトンやクロロホルムなどがあります。
有機溶媒に溶かすことで、あまり熱を加えずに変形させることができる利点があります。
通常、熱を加えて変形させる場合は、250℃以上での加熱が必要ですが、
有機溶媒に溶かすことで80℃~100℃程度までの加熱で容易に変形ができます。
共重合や対候性の特性も
アクリルが幅広い製品に利用されているのは、他にも多くの特性があるからです。
たとえば、この素材をベースとして、
さらに様々な種類の合成樹脂を作ることができることが挙げられます。
アクリル素材が多様な種類の合成樹脂を作れるのは、
モノマーが他の種類のモノマーと重合することができるからです。
モノマーとは、重合を行う基質のことを意味しています。
モノマーのモノとはギリシャ語で1という意味の接頭語です。
複数のモノマーから形成されるものを、ポリマーといいます。
アクリルは、2種類以上のモノマーから行われる共重合によって、
多くの新たな合成樹脂を作ることができるのです。
屋外で使用された場合の対候性が高いことも、アクリル素材の特徴です。
外部に放置した場合でも、変色や変形が少ないのが、対候性が高いということです。
外の環境により素材の質自体が劣化しにくいという特性も持っています。
こうした理由によって、単独で使用される用途の他にも、
他の素材の上にコーティングされて使用されることもあります。
金属などの上にコーティングすることで、金属の劣化を防ぐことができます。
また他の合成樹脂の上にコーティングすることもできます。