水族館は海の近くが多い
水族館は、海の近くであることが多いものです。
海洋生物の飼育に必須の海水を人工的に作るには、多額のコストが生じます。
そこで、海の近くに水族館を作って、海から直接海水を取り込んだ方が、
コスト面から考えて合理的であるということになるのです。
また、海に隣接した水族館は、自然を楽しむことができることでも人気になっています。
海に近い立地は大変魅力的なのですが、
地震による津波などの震災対策という面から考えると、
とたんに大きな不安を感じる人は少なくないことでしょう。
実際に先の東日本大震災では、巨大津波によって海水や泥が施設の内部まで浸入し、
甚大な被害が出ました。
こういった経験から、現在ではほとんどの水族館が震災対策に力を入れており、
定期的な避難訓練なども行われています。
また、深海の暗い状態をリアルに再現するために、
館内の大部分は薄暗い状況になっていることが多いものです。
そのため、海水が流れこんでくると、より一層避難が困難になることが予想されますし、
万が一、巨大水槽の損壊によって、大量の水や資材の破片が流れ出すことになれば、
人的被害も深刻なものになると考えてよいでしょう。
では水族館では、実際にどのような震災対策がなされているのでしょうか。
水族館の震災対策
水族館の震災対策として、館内の大部分を占める巨大水槽の保全は必須です。
ガラスのように美しく透明な大水槽は、実はアクリル素材で出来ています。
アクリルはガラスと比べて耐衝撃度が非常に強く、
中には10倍もの強度を持つアクリルもあります。
また衝撃に強いだけでなく、重量はガラスに比べると約半分程度、
それでいて大きな水圧にも耐えられる、非常にすばらしい素材なのです。
近年では水槽の大型化が進み、水槽の強度も一層丈夫なものが求められています。
アクリルは、何層に重ねても透明度が高いので、震災対策として大変有効な方法なのです。
館内の震災対策として、水槽と同じくらいに重要なのは、避難経路の確保です。
薄暗い館内で停電が起こると、自家発電装置が設置されていても、
人々の間にパニックが広がりやすくなります。
水槽に破損が生じなかった場合でも、水を供給している配管類が破損すれば、
館内が水浸しになる可能性は十分あります。
しかし、アクリル製の丈夫な巨大水槽は、巨大地震を想定し、
十分な耐震性を備えているので、
飼育生物と来館者を共に守る頼もしい存在であることは間違いありません。